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日出づる

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風のように自由
日いづる。


――風が吹いていた。
時間は午前4時。
場所は海。
草薙は歩いていた。
海辺を歩いていた。
日の出を見るためだ。
ビューーー
ビューーー
清澄な風が肌を凪いだ。
サアアァン
サアアァン
波の音が聞こえる。
静かだ。周りに人はいない。
草薙は目的地についた。
ここなら日の出がよく見える気がした。
(よっと)
草薙は座った。
砂の感触が心地いい。
(少し待つか)
日の出まで時間はある。
周りに人はいない。
草薙は一人だった。
(寒いな)
草薙は目を閉じた。

――草薙は夢を見た。
「久世さん、どこにいくんですか」
「みんなで初日の出をみるんだから主賓にはちゃんと休んでもらわないと」
「えっ?…………
敵陣へ強襲ですか!?」
「……新年を迎える時は敵軍が油断してる時?……滅ぼすのは今……
た、確かにそうかもしれませんが……」
「足手まといだからお前達は予定通りだって」
俺の言葉を聞いて部下達が青ざめる。
並行する十三帝将達がクスリと笑う。
曰く、清々しいまでに人間の屑。逆に尊敬する。
曰く、人間として見事なまでに終わってるからその辺りを期待してはいけないですよ
お前らが言うなとも思うが、
概ねその通りなので特に反論はない。
「初日の出一緒にみましょうよ
久世隊長。英雄がいれば皆の士気もあがりますよ」
「皆で一緒に思いっきり叫びましょうよ!!」
「えっ?
何を叫ぶんだって?」
「もう、人が悪いですよ久世隊長。
日本救国の英雄が何いってるんですか!!」
――――
――――
――――
「俺達が守ってるのは日いづる国ですよ。
叫ぶのは久世さんも好きないつものやつです!!」
それはもちろん――

「――」
草薙は目が覚めた。
(夢、か……)
かつての仲間達の夢。
もう草薙の隣にはいない者達。
草薙は一人だった。
「っ」
だが変化があった。
(眩しい……)
草薙は空を見上げる。
黄金が空にさしていた。
(あれは……)
淡く光る太陽。
――日の出だ。
(綺麗だな)
綺麗な日の出。
美しい日本の景色。
明けの空
日出づる国に
さす光
友が夢見た
未来照らして
淡く響く短歌。
我ながら単純で俗っぽい歌だ。
――それもまた良し
草薙は立った。
そして
「日本……ばんざーーーい」
日の出に向かって叫んだ。
海に轟く大音声。
草薙の叫びが響き、海に消えていく。
草薙と共に戦った者達があの日の初日の出に叫んだであろう言葉。
今いいたくなったのだ。
(無論、なんとなく)
馬鹿な事なのかもしれい。
だが――
「――それもまた良し」
風に吹かれるように草薙は歩き出した。
草薙は変わらず一人だった。
だが日の出が優しく草薙悠弥を――只の日本人を照らしていた。

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