草薙悠弥、肥料を作る穴を掘る
草薙は畑の穴を掘る。
肥料を作る穴だ。
土を元気にする穴だ。
ある日本人のおっちゃんに頼まれたのだ。
穴を掘るのが草薙が今日やる事である。
草薙は穴を掘る現場に向かった。
「めっちゃ荒れてるやん」
掘る場所は荒れ地だった。
なんか葉っぱつまれてた。
穴掘るってレベルじゃねぇぞ。
草薙は穴を掘る用途を聞いた。
肥料を入れる穴を作りたいのだという。
「土が元気になるな」
俺はいった。
扶養な土は日本の財産である。
なんか超大げさな気がするがそれもまた良し。
「やりまっせ」
俺がそういうとおっちゃんは
「やってくれるか!」
大層よろこんでくれた。おっちゃんが笑顔を浮かべる。
おっちゃんスマイル、プライスレス。
肥料といっても、落ち葉や枯れ葉らしい。
小さな子供達に健康な土を残してあげたいという話だ。
「ほっこりするやん」
やる気がちょっとアップした。
おっちゃんが、小さな木を複数土にさした。
これを目印にして掘ってほしいとの事だった。
掘る場所は枯れ葉がいっぱいつみあがっている。
草薙はまず枯れ葉を処理する事にした。
草薙は枯れ葉を運んでいく。
何回も運んだ。
草薙は枯れ葉を運び終えた。
これで、普通に穴を掘れるというわけである。
「掘りますとも」
俺はクワを手に取り振り下ろした。
ガツン。
土は固かった。
この土ビンビンやんこんな固くなって……と草薙は思った。
「はいやぁ!!」
草薙が振り下ろした。
一刀両断、おっちゃんが植えた目印の木が一刀両断された。
「おーわりぃわりぃ」
草薙は更にクワを振り下ろす。
土が掘られる。
だが
ズルガっ!
(おっと)
草薙は気づく。
クワがなんかヤバイ事になってた。
刃の付け根がズレてる感じ。
元々怪しかったが、このまま草薙が力をいれると完全にぶっこわれそうだった。
草薙が力を入れすぎるとクワが壊れる可能性が高い。
抑えていこう、そう思い草薙は畑に穴をほっていく。
ガン
ガン
ガン
作業を続ける草薙。
結構掘った。
これ普通に耕してるだけじゃね、と草薙は思った。
まぁいいかと草薙は、畑にクワをぶちこんでいく。
土は硬い。まるで石みたいな硬さだなと本当に石が入ってた事もあった。
クワを壊すまいと力を抑えた事もあってスローペースで進める
「ふ~~」
草薙はゴロンと転がった。空を見る。
空は青かった。こうやって土をいじり土に転がり空をみる。
(中々いいもんだ)
草薙は自然を感じていた。
雲はゆっくり動いている。
今日はスローペースだがそれもまた良し、草薙はそう思った。
立ち上がり再びクワをふるう。
また硬いものがあたった。
ちょっと抉ってみる。
そして確認すると。
(根っこか)
どうも進みが遅いと思ったら、太い根っこが大量にあった。
どうにもここは土は硬いわ、石もあるわ、木の根が多いわで掘りにくい。
どうしたものかと草薙は少し思案。
草薙は木の根を切った。
木の根を切り、木の根を引き抜く。
木の根を切る、引き抜く。
木の根を切る、引き抜く。
いい感じに進む
おっちゃんがきた。
このあたり掘るの大変やろ。
そうっすね、硬いし、木の根は多いし。
うむー
おっちゃんが思案し、新しく土に木をぶっさす。
それを紐のようなもので繋ぐ。
「この範囲でやったって」
紐で囲まれた部分を指差し
おっちゃんはそういった。
この範囲今まで俺が掘った分、殆どはいってないやんと草薙は思った。
「今まで掘った分はいい感じに耕されたという事でな、うん」
おっちゃんが適当にフォローした。
まぁいっか
草薙も適当に納得した。
心機一転、草薙は新しい範囲を掘る。
◆
「ぬおおおおお」
クワを振り下ろす。
元々中々の荒れ地。
木の根は多いし、石もあった。
だが草薙はクワを振り下ろした。
「このクワだとあかん。
ここは硬いから掘れん」
おっちゃんがいった。
草薙的には力をいれれば掘れるがそれだとクワが壊れる可能性がある。
概ねおっちゃんのいうとおりだった
「まずはこのクワがええな」
三股のクワだ。
確かにこれならそんなに力を入れなくてもサクっとほれそうだ。
三又のクワは比較的簡単に硬い土を抉った。ただ、一度に掘れる範囲は広くない。
しばらく掘る。
結構掘れてきた。
(三股のクワ、いいな)
木の根があたる。
草薙はツルハシのようなクワをとりだす。
ツルハシのようなというかほぼツルハシだった。
ツルハシで木の根を抉る。
(よっしゃ)
うまく木の根を取れた。
これでスムーズに掘れそうだ。
「よいしょーー」
草薙は穴を掘る
「よいしょーーー」
草薙は穴を掘る
(硬い土や石のはいった土、かったい木の根がある土は、ツルハシがオススメ。範囲狭いけど。壊れにくいし)
「ぬおおおお」
更に草薙は――穴を掘る
◆
「こんなもんか」
草薙は穴をみた。
途中で盛大にサボり……休憩した事もあり時間がかかってしまった。
枯れ葉がいっぱい積まれてた荒れ地が一転、中々立派な肥料の穴があった。
「おーーーええなーーーー」
おっちゃんがきた。
「ええのができたやん。
上等や」
おっちゃんが喜んだ。
草薙は嬉しくなった。
肥料入りまっか?
「おぉー落ち葉を入れれるでー」
「いいっすね」
日本の土が元気になる。
いい事だ。
今日は荒れ地具合が中々だった枯れ葉をとったり
木の根をとったり色々やった。
土の中にあった木の根、一部だけでも中々大きい、多い。
ちょっと長い作業になってしまった。
「だがまぁ……」
――それもまた良し。
◆
後日、この穴には小さな子供達がたっぷり落ち葉をいれたらしい。
子供が自然に触れる機会となったわけだ。
子供が自然と触れあう経験。
それは子供と日本にとっていい事だろう。
草薙は少しほっこりした。