――撃つ!!
撃ち放たれた一撃。
草薙が巨躯の魔族の腹腔を撃ち抜く。
ボキボキと骨が折れる音が響いた。
魔族が怒る。
腕をラリアットのように振り回した。
草薙を殴りつける。
人間なら全身の骨が粉々に砕けるであろう衝撃。
だが――
ドゴオオ!!
(ぶっ殺す!!)
拳を放つ。
額から流血しながらも草薙が巨躯の魔族をぶん殴る。
草薙の大木を薙ぎ倒すが如き拳が流線を描き、魔族に炸裂した。
巨躯の魔族の膝が折れる。
そして草薙が――頭突き。
魔族の頭が揺れる。
草薙の額から更に血が出る。だが――
(知った事じゃねぇ)
道理も痛みもおかまいなし。
荒々しく草薙が攻める。
「愚か、者がああぁ」
魔族が頭突きを返す。
望む所だ殺してやると憎悪と敵意を振り絞る。
「うるっせぇ馬鹿野郎ぉぉぉ!!」
ヘッドバッド。
巨躯の魔族の額から更に地が噴出する。
草薙が殴る。
魔族が殴る。
一歩も引かない。
殴り合う音だけが響く。
まるで、デスマッチ。
ヤクザめいた戦い。
野獣のような戦いがそこにあった。
雄々しさのような塊のような魔族と正面から野獣めいた戦いをしかける草薙は端的にいってまともではない。
激しい乱打が双方で応酬する。
男と男。
野獣と野獣の殴り合いであった。
だが――
「国敵がああぁ!!」
草薙の怒りを込めた一撃が魔族に叩き込まれた。
日本を害するものを滅ぼす拳が、災厄の魔族をたたきふせる。