草薙は店によった。
買いたいものがあった。
納豆である。
草薙が今使える金は100円。
(足りるか?)
多分大丈夫、そう思い納豆を探す。
(あった)
草薙は納豆を見つけた。
ちょっと嬉しくなる。
庶民感覚だ。
草薙は納豆を買った。
会計をする。100円で足りた。
納豆を受けとる。
(よかった)
ふと、草薙は思う
(助かってるな)
どこにでもある店。なんという事もない店員。
だが、彼らのおかげで助かってる。
「ありがとうございます」
軽く草薙は礼をいった。
「っ」
店員軽く会釈。年齢は多分三十~四十代位。勤労者である。
店員は少し驚き、嬉しそうな雰囲気を出した。
「ありがとうございました!」
店員がいった。定型句だが声に張りがある気がした
(気のせいかもしれない)
だがそういう事にしておこうと思った。
草薙はいつも買った後に、ありがとうございますをいうわけではない。
どちらかというと、言う方。
言わなくてもいいんじゃね、というかそれが普通だろと思ってるゆるいスタンスである。ぶっちゃけどっちでもいい。
今日はいってみようと思った。
無論、なんとなく。
ほんの少し心が軽くなった気がした。
(ちょっと大げさかね)
だが……
――それもまた良し。