「うむ……」
草薙悠弥は、今回の応援飯を見た。
――みかん。
――オレンジ。
場所は静岡県、伊豆。
伊豆の地で作られたとあるブランドのオレンジだ。
伊豆の海の近くに構えられた園地。
海を臨み、静岡、伊豆の地に降り注ぐ太陽の光を受けて育ったオレンジだ。
見た目の印象としてはグレープフルーツのそれに近い。
白く黄色いオレンジ。
実にうまそうだった。
「食うか」
この地はクラウドファンディングで支援を募集していたみかん(オレンジ)である。
大陸からのウイルスなどで被害を受け、観光客が激減。
これによって経営が悪化。在庫も余ってしまった。
このみかん(オレンジ)の生産は多くの日本人の雇用を抱えている。その中には体に障害をもった者もいた。
障害者支援という側面も有しているのだ。
おいしいみかん(オレンジ)を作る場所、静岡県伊豆の皆が健やかに働ける場所という意味でもこのみかん(オレンジ)を作る場所が危機に陥るのはよろしくない。
ならば少しでも支援をと、只の日本人、草薙悠弥は応援飯という事でここのオレンジを購入したのだった。
「――それもまた良し」
草薙悠弥はみかん(オレンジ)を食べた。
「――うまい」
ほのかな甘さ。
爽やかな酸っぱさ。
柑橘の美味しさがそこにあった。
見た目もグループフルーツに似ているが味もグレープフルーツに似ている気がする。
甘く酸っぱい。
だが――
(いいな)
いいのだ。
その甘酸っぱさがいいのだ。
伊豆の海、伊豆の太陽を感じた気がした。
(やはり、伊豆はいいな)
頑張れよ、伊豆。
静岡県伊豆のとあるオレンジ――食べて応援したのだった。